「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」 「マリンエンジニアリングの航跡」とは

「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」の経緯

 「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」(「航跡」と略される場合もあります)は、マリンエンジニアリング学会が2022年度(令和4年度)から始めた認定事業です。この事業の発端は学会のシニア会からの提言でした。未来を担う若い人たちが、先人が成したことから何らかの学びを得て欲しいという願いを受け、学会内で検討を重ね、実施する運びとなりました。
 この「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」という事業名称について説明したいと思います。同様の事業として、日本船舶海洋学会の「ふね遺産」がありますし、日本機械学会の「機械遺産」も知られています。実は、本事業がシニア会から提案されてきたとき、これらの事業と同様に「マリンエンジニアリング遺産」という名称でした。その後、本事業の立ち上げについて議論を重ねる中で、「過去を振り返る、というよりも過去が未来につながっているイメージを示したい」ということで、「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」という名称になりました。海事産業の基盤となる舶用工業分野における歴史的な転換点が連なる「航跡」をたどり、先人の努力・成した「功績」を未来につなげたいという思いが、この認定事業に込められているのです。

「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」の目的

 我が国は周囲を海に囲まれた海洋国家です。船舶は物流において大きな役割を担っており、外国貿易の物流における輸送機関ごとのシェア(重量ベース)は99%を越えます。もちろん、国外との物流だけでなく、国内における物流においても、船舶は大量の物資を効率的に運搬できるという特長から、不可欠な存在となっています。エネルギー、食料等の日々の生活に不可欠な物資の輸送を担っているのが船舶です。それゆえ、ナショナルセキュリティの観点から見ても、船舶関連の産業の重要性は高いと言えるでしょう。一方で、自動車、飛行機はほとんどの方にとっては日常的な乗り物なのに対し、船はなかなか身近なものとはなっていません。船舶の製造・運航に関する情報に触れる機会はさらに低いと言えるでしょう(残念ながら、ニュースに大きく取り上げられるのが船舶に関連する事故だったりします)。造船業はもちろんのこと、船の運航に必要な様々な機器に関する情報にいたっては、海事関連業界に関わっている人以外、ほとんど触れることはないでしょう。さらに、業界関係者であっても幅広い分野にわたる海事産業の全てを知ることはできず、自身の「専門」の周辺に閉じこもることになりかねません。海事業界にたずさわる者として,広く海事産業の重要性やその多様性への認知を高めることが必要と考えます。
 本認定事業は、船舶等で活用される様々な機器等にたずさわる舶用工業分野における人々に、先人の努力・成した「功績」を未来に伝えることで「知」の糸を長く紡いでいくことを一つの目的としています。言い換えれば、この事業を通じて、未来を担う技術者だけではなく海事分野に関わる人すべてに、社会・経済的な背景とともに技術的なものの見方を伝え、自らの視野を広げていってもらうことが目的です。同時に、海事分野における先人の功績を広く社会に知らしめ、海洋国家としての日本を支える海事産業の重要性への認知を高めることも目的としています。
 温故知新と言うように、本事業が海事産業の未来に向けた一助となることを願っています。

「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」認定の流れ

 本認定事業では、皆様から「マリンエンジニアリングの航跡~未来へ続く先達の功績~」をご推薦いただき、それらについて厳正な審査を経て認定されます。審査は外部有識者を含む審査委員会において行われます。審査委員会で認定対象とされたものは、理事会で最終承認を経た後に正式に認定され、認定式も執り行われます。
 本事業を実り多きものとするためにも、皆様からの積極的な応募をお願い致します。なお、応募の際は募集ページをご覧下さい。